再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
この情報は本当に有難かった。お陰で折れそうだった心が大きく救われた。
それはローサも同じだったようで。
「良かったですね、コハル様」
木陰で休みながら、久し振りに穏やかな笑顔を見せてくれた。
彼女にとっても初めての砂漠の旅なのに、私を守るために常に気を張っていなくてはならないのだ。もしかしたら私以上にホっとしたのかもしれない。
「アイツ見つけたら必殺キックを一発お見舞いしてやらなきゃ気が済まないのです」
メリーがめちゃくちゃ低い声でボヤくのが聞こえて苦笑する。
でもメリーもこの数日本当に頑張ってくれていた。
夜は相変わらずぐっすり寝てしまうけれど、昼間毎日のように私たちに癒しの魔法を掛けてくれた。
初めての砂漠の旅でここまで体調を崩さずにやって来られたのはメリーのおかげに他ならないだろう。
竜の国にいた頃に比べてすっかり埃っぽくなってしまったその身体を撫でながら私は言う。
「そうだね。私もどんなに大変だったかって文句言ってやろう」
と、ローサが浮かべていた笑みをスっと消し、少し離れた場所で仰向けに寝転んでいるカネラ王子に訊ねた。