再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「ごめんなさい、ここまでにしてください!」
もう命にかかわるような重傷の人はいないはずだ。
残った人々が落胆の声を上げる中、私はメリーを抱っこしたまま廊下へと駆け出した。
「メリー、大丈夫?」
「大丈夫なのです〜」
そう小さく答えてくれるけれど、明らかにいつもの元気がない。
「ごめんね、メリー。オアシスにお花探しに行こう!」
泉の周りなら花が咲いているはずだ。
これまでのオアシスでも種類は少ないもののちゃんと花のついている植物はあって、メリーは堅くてあまり美味しくないと文句は言いつつもしっかりと食んでいた。
だから、やっぱりあまり美味しくはないかもしれないけれど、いっぱい食べてゆっくり休めばきっとすぐに元気に――。
「メリー、コハルさまのお役に立てましたか?」
建物の外に出たときだった。
そんなか細い声が聞こえて見下ろすと、こちらをじっと見つめるつぶらな瞳とぶつかった。
「十分すぎるほどだよ!」
思わず叫ぶように言ってその身体をぎゅうっと抱きしめる。