再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

「そう。コハルと一緒だよ。コハルも聖女の力を使うと……ほら、前に話してくれたコハルの世界で言う『えむぴー』だっけ? それを一気に使い果たして気を失ってしまうだろう?」

 ゲームの『MP』について、7年前にエルに話したような記憶は確かにあるけれど。
 メリーに視線を移してエルは続ける。

「まぁ、妖精は普通そんなことないけど、この子はまだ生まれたばかりだから自分の限界に気付けなかったんだね」
「じゃあ」
「うん。大丈夫。妖精はこんなことで死んだりしないよ」

 それを聞いて安堵した私はもう一度その場にへたり込んだ。

(良かった……っ)

 メリーの身体をぎゅうと抱きしめる。

「良かったですね。コハル様」
「うん……!」

 ローサの優しい声がして私は何度も頷く。

(本当に良かった……!)

 でも、エルの話はまだ終わりじゃなかった。

「ただ、眠りから覚めるには数十年かかってしまうかもしれない」
「!?」

 ローサが息を呑むのがわかった。
< 350 / 412 >

この作品をシェア

pagetop