再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
――数十年……。
私はメリーの静かな寝顔を見つめる。
エルの言った「深い眠り」の意味。
長く生きるという妖精にとって、数十年はほんの一瞬なのかもしれないけれど。
生まれたばかりだというメリーに、そこまで大きな負担をかけてしまったことに改めて自己嫌悪で涙が滲んだ。
(ごめんね、メリー)
「でも、異国の地でこんなに頑張っている妖精を見るのは初めてだなぁ。ご褒美に、ちょっと『ウラワザ』を使おうか」
「……裏技?」
私が顔を上げると、エルの手が伸びてきてメリーの身体に優しく触れた。
途端、メリーの身体はキラキラと輝き出して私の腕からふわりと浮き上がった。
「!」
その光はどんどん強さを増していき、あまりの眩しさに目を開けていられなくなる。