再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「あ、あの、妖精王様」
「ん?」
そのときエルに声を掛けたのはローサだった。
緊張した面持ちで彼女は言う。
「妖精王様は、その、どうしてこちらに?」
「それ!」
思わず私はローサの後を続けていた。
「だって、あのブローチもないのに」
「“妖精の瞳”ならあるのです!」
「へ?」
答えてくれたのは腕の中のメリーだった。
「メリーがちゃんと持ってきたのです!」
言うなりメリーは自分のもこもこの身体の中に短い前脚を突っ込んで、あの翡翠色のブローチを引っ張り出して見せた。
(い、いつの間に……)
もこもこの毛の中に見事に隠れていて全然気付かなかった。
「そう、この子がこうして持っていてくれたお蔭でコハルのピンチも救うことが出来たんだ」
「ピンチって……」
そのとき、エルの視線がちらりとカネラ王子の方を向いたのを見て、私はハっとする。