再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「エルは何か知ってる?」
妖精王である彼なら、もしかしたら何か情報を掴んでいるかもしれないと思ったのだけど。
「魔族や魔王の動きは僕にもわからないけど、竜帝くんが何らか関わっているのは間違いないだろうね」
「!」
――やっぱり、と思ってしまった。
タイミングがあまりにも合致し過ぎている。
「でも、魔王の復活に必要なのは」
「多くの血と、多くの負の感情、だね」
リューから聞いていたものと同じだ。
この世界の共通認識なのだろう。
「なら、今からでも魔族たちを止めれば、まだ」
おそらくは最初に魔族たちの襲撃を受けたこの街も幸い死者は出なかったし、メリーのお蔭で重傷だった人たちも治った。
以前魔王が復活したときにどれだけの血が流れたのかわからないけれど、これ以上の被害が出なければきっとまだ……。
「どうだろうね」
「え?」
エルは困ったような笑みを浮かべ言った。
「ひょっとしたら、既に魔王は復活しているのかもしれない」
「!?」