再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第8話
城に向かってリューはどんどん高度を下げていく。
私は知らずごくりと喉を鳴らしていた。
7年前、堅牢な城壁に囲まれたその城は魔王に支配され魔物で溢れていた。
今はもうそんなことはないと分かっていてはいても、やはり未だに恐ろしいイメージがあった。
リューが軽く音を立てて着地したのは、その城の庭園だった。
優しく下ろされて、私は数時間ぶりの地面をしっかりと踏みしめた。
まだ目を覚まさないメリーを抱っこしたままその庭園を見回す。
ティーアの城の庭園は『花の城』の名に相応しく花と緑に溢れ素晴らしいものだったけれど、こちらはそれに比べるととてもシンプルだった。
中央に大きな噴水はあったけれど植栽は少なく、辺りがもう暗いこともあってなんだか少し冷たい印象を受けた。
「行くぞ。皆にコハルのことを紹介する」
「え!?」
思わずそんな大きな声を出してしまった私に、リューは優しい微笑みを向けた。
「コハルはただ俺についていればいい」
そうして彼は大きな扉へと向かう。