再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

第76話


「エル、私を連れて行ってくれないかな」
「ん?」

 私がお願いすると、エルは首を傾げた。

「エルなら飛んで行けるでしょう?」

 このままラクダに乗って進めば明日には魔族の街に入れるとカネラ王子は話していた。
 でも今はその時間すら惜しい。
 だから、お城のバルコニーから竜の都へ飛んだときのように連れて行ってもらえたらと考えたのだ。それに……。

「それは構わないけど、さすがに僕でもこの人数は難しいかなぁ」

 エルが苦笑するのを見て、私はローサたちの方を振り返った。

「皆は後から……ううん、それより王都へ戻って応援を」
「何を仰るのです!」

 私の言葉を遮って、ローサが驚いたように声を上げた。

「わたくしもコハル様と共に参ります!」

 ……ローサならきっとそう言ってくれると思っていた。

「でも、急がないといけないし、それにもし本当に魔王が復活していて、もしリューが操られていたら」

 そこで私は言葉を切った。あとを続けられなくなってしまった。
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