再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
私と同じように驚いた様子のカネラ王子を見て、エルが薄く笑う。
「気になるのかい?」
「気になるって言うか、これからあの竜帝のとこに行くのに男だったらマズイんじゃないかと思って。普通に男にも見えるし」
(それは、確かにそうかも……)
こんなところを見られたらまた誤解されかねない。リューはメリーが人の姿になれることを知らないのだから。
と、エルは呆れたように小さく息をついた。
「君がそれを言うのかい」
「え……」
「まぁ、向こうに着いたらすぐに元の姿に戻ればいいんじゃないかな。それで、君はこれからどうするんだい?」
そうだ。カネラ王子はこれからどうするつもりなのだろう。先ほどエルに色々言われて青くなっていたけれど。
皆の視線を受けたカネラ王子は目を瞬いてから「あー」と小さく声を漏らした。
「俺も行くよ。ぶっちゃけ怖いけど、ここに残っても王宮に戻っても気マズイだけだし」
王子らしいなぁと思った。
しかし、飛んでいくにもメリーは私、エルはローサで手一杯……いや、もしかしてエルは両手にふたり行けるのだろうかと想像していると。
「一応俺も魔族だから飛んでいけるしね」
それを聞いて、そういえば魔族の姿に変身した彼には翼があったことを思い出した。
「それに、俺にも何か出来ることがあるかもしれないから」
(あ……)
それはさっきエルに言われていた言葉だ。
そう思ってエルの方を見ると、心なしか嬉しそうに微笑んでいた。