再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「彼が本当に魔族と共謀して魔王復活を目論んでいるのなら、もっと良い方法はいくらでもあったと思うし。例えば、コハルを殺してしまうとか」
笑顔でさらっと怖いことを言わないで欲しい。
お蔭でメリーからまた強く抱きしめられて「ぐぇ」とか可笑しな声が漏れてしまった。
「まぁ、用心するに越したことはないけどね」
そう続けたエルの視線を辿ると、カネラ王子が丁度建物から出てきたところだった。
彼は私たちの元まで走ってくると息を切らせながら言った。
「クレマが、改めてお礼がしたいから必ず戻ってきてくださいって。見送りたいって言われたけど、断った」
そこで彼は一度大きく深呼吸をし目を閉じたかと思うと、バサっという羽音とともに魔族の姿へと変身した。
「この姿、あんまり見られたくないから」