再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
その背中にはもう翼はなくて、なのに服は特に破れている様子はなくて、でも今はそんなことどうでも良くて。
(ど、どうしよう……)
お城に入ってしまったら最後、そのまま後戻りできない気がした。
「コハル?」
ついて来ない私に気付いて彼が振り向いた。
「あ、あの……」
「ん?」
その疑いのない笑顔にツキリと小さく胸が痛む。
(なんて言うの? ごめんなさい、やっぱりあなたと結婚は出来ません。だから元の世界に帰してくださいって? 今更?)
そんなことを言ったらリューはどんな顔をするだろう。
怒るだろうか。……いや、それよりも。
(――だ、ダメだ!)
私のせいで悲しむリューは見たくない。そう思ってしまった。
そもそも、私が7年前にあんな返事をしてしまったのが悪いのだ。
自分の気持ちはまだわからないけれど、リューはこんな私のことを好いてくれている。その気持ちはとても嬉しいし、すごく有難いことだ。
――覚悟を決めなきゃ。