再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。



 日がほぼ真上になり、灼熱の中を飛ぶことおそらく15分程。

「見えてきた。あれが魔族の街」

 私たちの前を飛ぶカネラ王子が前方を指差した。
 少し前から足元に広がるのは砂の大地ではなく、石と岩だらけの赤茶けた大地に変わっていた。
 カネラ王子の指差した先にはごつごつとした岩山がいくつも聳えていて、きっとあのどこかに『竜の洞』と呼ばれる洞穴があるのだろう。

 念の為、今私達はエルの魔法で姿を消している。
 魔族たちに見つかったら余計な争いに発展してしまうかもしれない。
 今はリューを、『竜の洞』を見つけることが最優先だ。

「どこにあるんだろう、竜の洞」
「洞ってことは、穴が開いてるってことですよね?」
「うん、多分……」

 メリーの問いに答えながら辺りを見回す。
 しかし見渡す限り赤茶色の岩山ばかりで、もう少し低く飛ばないと洞穴を見つけるのは難しいかもしれない。そう思ったときだ。

「あっちの方から、なんか呼ばれてるような気がする?」

 なぜか疑問形で、カネラ王子が右の方角を指差した。
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