再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「呼ばれてる?」
「そんなような気がするだけだけど」
酷く曖昧な言い方に困って私はすぐ横を飛ぶエルに声をかける。
「エルは何かわかる?」
「確かに、何か嫌な感じはするかな」
こちらもかなり曖昧だけれど、手掛かりは何もないのだ。行ってみるしかない。
少し高度を下げ、相変わらず様々な形の岩山が連なるその方向へ進んでいくと。
「魔族たちです」
「え?」
ローサの緊張した声が聞こえて、私達は彼女が指差した先に視線を落とした。
確かに岩山の間に小さく人々の姿が見える。
よくよく見るとその周辺の岩山にはたくさんの横穴が開いていて、そこがどうやら魔族たちの住居になっているようだった。
「魔族たちの集落だね」
エルがなんだか興味深そうに言い、メリーが私のすぐ耳元で泣きそうな声を上げた。
「あんなふうにいっぱい穴が開いていたら、竜の洞があってもわからないのです」
「確かに……」