再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
竜の洞というくらいだからもっと大きな洞穴を想像していたけれど、あのどれかという可能性もゼロではない。
どうしようと考えていると。
「俺が訊いてこようか」
そう言ったのはカネラ王子だ。
「同族の俺になら、もしかしたら教えてくれるかも」
「でも、」
確かに同じ魔族かもしれないけれど、あんな襲撃事件があった後だ。王子である彼がいきなり飛び込むのは流石に危険過ぎる。
しかし。
「急いだ方がいいでしょ。とりあえず姿消したまま様子見て来るよ」
言うなり彼はその集落に向かって降り始めてしまった。
と思ったらぴたと止まってエルの方を見上げた。
「合図したらこの魔法解いてください」
「了解」
そして再び下降を始めたカネラ王子を見ながら、エルが何やら楽しそうに言った。
「僕たちもついて行こう。姿は消したままね」