再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「何かわかりました?」
同じ岩山に降りた王子に訊くと、彼は集落を見下ろしながら答えた。
「クレマの街と一緒。怪我人が大勢いるっぽい」
「!?」
驚いて、しかしすぐに納得する。
クレマ王子の街があれだけ滅茶苦茶になっていたのだ。魔族側も無傷とはいかなかったのだろう。
クレマ王子も精一杯応戦したと話していた。
「それで、お願いがあるんだけど」
カネラ王子が続ける。その視線はなぜかメリーを向いていて。
「あのときみたいに魔法で治してあげられないかな?」
「は?」
「まさか、魔族たちを助けるおつもりですか!?」
思わずといった様子で声を上げ慌てて口を押さえたローサにカネラ王子は頷く。
「そう。ダメかな?」
「メリーは絶対に嫌なのです!」
改めて訊かれたメリーが私の後ろに身を隠しながら(私より大きくなったため全然隠れられていないけれど)信じられないという顔でブンブン首を横に振った。
「魔族なんて助けたくありません!」
「そっか……」