再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
困ったなぁというように頭を掻くカネラ王子に、ローサが控えめな声で抗議する。
「なぜです! 魔族たちはあなたのお兄様の街を襲ったのですよ? 自業自得ではないですか!」
「まぁ、そうなんだけど……でも、魔族たちも同じこの『砂漠の国』の民だし」
「……っ」
ローサは言葉を失ったようだった。
(カネラ王子……)
私も彼のそんな発言に驚いていた。
と、彼は今度はローサの隣に立つエルに視線を向けた。
「じゃあ、妖精王さまは? 妖精王さまも癒しの魔法使えるんですよね?」
「うん。使えるよ」
にこやかに頷くエル。彼はどう答えるだろう。
エルも妖精。しかもその王様だ。魔族にはやはり良くない感情があるのだろうか……?
そんなことを考えていると、その翡翠の瞳がこちらを見た。
「コハルはどう思う?」
「え?」
「僕はコハルの意思に従うよ」
「え!?」
皆の視線が集まって私は動揺する。
「なんで私……」