再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「コハルは早く竜帝くんに会いたいんだろう? 魔族たちと話せば何か情報が得られるかもしれない。けど危険はあるし、ただ時間をロスするだけになるかもしれない」
(確かに……)
……魔族たちはクレマ王子の街を襲撃した。血を流し苦しんでいる人たち、それを見て悲しんでいる人たちが大勢いた。
そんな酷いことをしたのだ。ローサの言う通り、自業自得だとも思う。
(でも……)
そのとき再び大きな泣き声が聞こえてきた。
集落に視線を戻すと、女の子だろうか、魔族の姿をした小さな子がひとり顔を上げて泣いていた。
その姿はクレマ王子の街でお父さんを助けてくださいと泣いていたあの子とあまりに変わらなくて。
「……助けたい」
「コハルさま!?」
メリーとローサが目を剥いて驚く中、エルが優しく微笑んだ。