再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「コハルがそう望むなら。と言っても、僕がいきなり行っても驚かれるだけだろうし、やっぱりまずは君が話をつけてきてよ、カネラ王子くん」
王子はすぐに頷いた。
「ありがとうございます、妖精王さま」
言うなり彼は再び翼を羽ばたかせ岩山を飛び立った。
「あ、もう俺の魔法解いちゃってください」
「了解」
「じゃ、行ってきます」
そして彼は再び集落へと降り立つと、先ほどの泣いている子供の元へと駆け寄った。
魔法が解け王子の姿はもう見えているはずだが、その存在に気付いている者はまだいない。
王子が声を掛けるとその子は泣くのを止め彼を見上げ何か話し始めた。ここからではその会話は聞こえないけれど、子供が怖がっているような様子はない。
すると王子はその子の手を引き、そのまま先ほどの横穴の中へと入っていってしまった。
「大丈夫かな……」
「大丈夫なんじゃないかな?」
エルのあっけらかんとした声が返ってきたけれど全然安心できなかった。
それからどのくらい待っただろう。
流石に様子を見に行った方がいいのではないかと思い始めた頃、カネラ王子が横穴から出てきてこちらに向けて大きく手を振った。
「お願いしまーす!」