再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「なんでもないです!」
そう言って、私は彼に駆け寄った。
「そうか? では行くぞ」
「はい」
私が頷くと、彼は目の前の大きな扉を開け放った。
――途端。
「お帰りなさいませ、竜帝陛下!」
「お帰りなさいませ、竜帝陛下!」
「お帰りなさいませ、竜帝陛下!」
そんな大合唱に迎えられてびっくりする。
広いエントランスホールの両側にずらり並んだ人たちが一斉に頭を下げていた。
ティーアの城でも同じような歓迎を受けたけれど、それよりも厳格で重たい印象を受けたのは、男性が多いからだろうか。
腕の中で寝ているメリーも流石にびくっと震えたが、まだ起きる様子はない。
「遅くなってすまない。準備は整っているか?」
リューが訊くと、一番手前にいた髪をかっちりとオールバックにし眼鏡をかけた男性が胸に手を当て頭を垂れた。
「はい。全て滞りなく」
「よし」