再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「すぐに戻って来るから。心配しながら待ってて」
「そこは心配しないで、でしょう普通」
思わずツッコミを入れるとエルはにっこりと笑って地上へと降りていった。
カネラ王子の元に合流し、横穴の中へと入っていくふたりを見下ろしていると。
「申し訳ございませんコハル様」
「え?」
「恨んでいるなどと……」
ローサが頭を下げていて私は慌てて両手を振る。
「ううん、全然。ローサは私を心配して言ってくれたんだし。確かに、恨まれててもおかしくないし」
でもそこまで言ってふと気付く。
(そういえば、カネラ王子は魔族なのに私のこと恨んでないのかな)
7年前も今回も、そんなふうに感じたことは一度もない。
あの夜だって、私を恨んでいるならあんなことせずにさっさと殺してしまえば済んだことだ。彼にはそのチャンスがいくらでもあった。
(それとも、本当は恨んでいるけど王様になるために仕方なく……?)
だとしたら改めてショックだ……。