再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
そんなことを悶々と考えながら、ジリジリとした暑さの中を待つこと10分ほど。
その間おそらく集落中の魔族たちがその横穴に入っていったのだろう、今外には誰もいない。
「あっ、出てきたのです!」
横穴から出てきたふたりの無事な姿を見て私たちはほっと胸を撫でおろした。
そのままこちらに飛んできたふたりにすぐに声を掛ける。
「どうだった?」
「うん、ちゃんと皆元気になったよ」
エルの変わらない笑顔にホッとする。
「良かった……」
「みんな驚いてたよ。妖精王さま、結局一度も姿を見せてくれないんだから」
はぁとカネラ王子が疲れたように溜息をついた。
「そうだったの?」
「僕の姿はそう簡単に見られるものじゃないんだよ。その方が面白いだろう?」
なぜか得意げなエル。
姿は見えないけれど妖精王様の力で奇跡が起きたなんて、また彼のレア度が上がってしまいそうだ。
と、カネラ王子が少し口調を変えて続けた。
「でもお蔭で『竜の洞』の場所がわかったよ」
「! どこです!?」