再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

「もう少しこの先。方向は合ってたみたい。行こう」

 大きく頷いた、そのときだった。

「カネラ王子様ー!」

 そんな可愛らしい声が聞こえてきて集落の方を見下ろすと、先ほど泣いていた魔族の女の子がこちらに大きく手を振っていた。

「ありがとうございましたー! 妖精王さまもーー!」

 カネラ王子は笑顔でその子に手を振り返した。
 エルもまんざらでもない顔で、こちらも自然と笑顔になる。

「聖女さまも、ありがとうー!」
「え!?」

 思わず声を上げてしまってから慌ててエルに訊く。

「私のこと言っちゃったの?」
「だって、コハルが治してあげたいって言うから妖精王のこの僕が、わざわざ足を運んだんだよ」
「でも、魔族たちは私のこと……」
「魔族でも、色んな考えの者がいるってことさ。彼だって、魔族だけど君を恨んでなんかいないだろう?」
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