再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「メリー?」
先ほどとは逆に私が抱っこすると、メリーはくったりと私の腕に身を預けた。
「ごめんなさい、なんか、急に力が出なくなったのです……」
「れべるあっぷしたと言っても、この魔の気配はキツイだろうね」
すぐ傍にローサと共に降り立ったエルが言った。
魔の気配? そう聞こうとして、エルから手を離したローサが急にがくりとその場に膝をついて驚く。
「ローサ!?」
「――な、なんですか、これは……全身の力が吸い取られていくような」
つい先ほどまでなんでもなかった彼女まで青い顔をしていて。
「コハル様は、平気なのですか?」
「う、うん」
闇を恐ろしいとは感じたけれど、ローサやメリーの言う力が出なくなるようなことは特にない。
「さすがは聖女様といったところかな。間違いない。ここに竜帝くんはいるよ」
「!」
「しかも最悪なことに、魔王も間違いなくここにいる」
「!?」
皆がその闇の洞を見下ろし息を呑んだ。