再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

第81話


「コハル」

 彼が。
 翼を広げたリューが私を見下ろし優しく笑う。

「竜帝!?」
「陛下!」
「出たなクソ竜人族~~」

 皆の反応の方が早かった。
 私は、驚きと喜びと、もしかしたら彼は今魔王に操られているかもしれないという疑念が交差して咄嗟に何の反応もできなかった。

 だって、まだ心の準備が何も出来ていない。
 もし彼が本当に魔王に操られているのなら、彼に聖女の力を使わなくてはならない。
 聖女の力でなら彼を救うことが出来るはずだから。
 前の竜帝、彼のお父さんをそうして救い出すことが出来たから。

(でも、リューのお父さんはその後すぐに……)

 握りしめた手のひらにじっとりと汗が滲む。
 私が逡巡している間にもリューは岩山に降り立ち、そのままこちらに歩み寄ってくる。

「コハル、来てくれたんだな」

 こちらに大きな手が差し伸べられる。
 そのキラキラとした整った笑顔は、彼に間違いない。
 7年前はあんなに可愛かったのに、腹が立つほどのイケメンに成長したリューに間違いない。
 でも。
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