再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 《 ククッ、余は操ってなどおらん。全てこやつ自身の意志よ 》

「嘘!」

 嘘に決まっている。リューの意志なわけがない。
 リューが、自らの意志であんなことをするわけがない。

 《 嘘ではない。むしろ余を喚んだのはこやつの方よ。余はそれに応えてやっただけ 》

「そんなわけ……リューがあんたのことを喚ぶわけがない!」

 リューが魔王を喚ぶなんてありえない。
 だって魔王は、リューが大好きだったお父さんを操って死に追いやった張本人。
 そんな魔王をリューが喚ぶわけがない……!

 なのに魔王は可笑しそうに続けた。

 《 最初はこやつの父が死んだときよ。凄まじい負の魔力によって余に掛けられた封印に綻びが出来た 》

「!?」

 セレストさんが話していた。
 5年前、お父さんが亡くなってから彼は10日間も塔に引きこもっていたと。
 
(そんな前から、魔王は復活しかけていたってこと……?)

 ギリと奥歯を噛む。
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