再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 そのとき、足元からトンっという軽い音がして、リューが足を着いたのがわかった。

「着いたぞ、コハル」

 リューの手が離れて、そのまま私はその場にへたり込んだ。
 力が出なかった。

「コハル、大丈夫か?」
「……」

 どれだけ深くまで降りてきたのか、そこはただ暗かった。
 かろうじてリューがそこにいるのはわかるけれど、他は何も見えない。どこまでも続く闇。
 頭上を見上げても外の光すら見えなかった。まだ昼間のはずなのに。
 そしてそこは不思議なくらいに涼しかった。
 もしかして私たちは『魔界』にまで降りてきてしまったのだろうか。

 魔王の声が聞こえなくなるととても静かで。
 ちょろちょろと水音が聞こえていることに気付く。
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