再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「凄いだろう、ここには水があるんだ。だからコハル。これからはここでふたりで暮らそう」
リューが私の手を取ってゆっくりと立ち上がらせてくれた。
私は呆然とその顔を見上げる。
「何を言ってるんです。竜の国はどうするんですか」
「国のことはもういいんだ。俺はコハルがいてくれれば、それでいい」
なんのためらいもなく彼の口からするりと出てきた言葉にショックを受ける。
「リュー……なんで。なんでそんなことを言うんですか」
彼がこんなふうになってしまったのは私のせいなのに。
でもそんな言葉を、彼の口から聞きたくはなかった。
私は両手で彼の服を掴んで叫ぶ。
「お父さんみたいな立派な竜帝になるんだって、言ってたじゃないですか。もう、目を覚ましてくださいリュー!」
《 無駄よ。目を覚ますもなにも、全てこやつの本心だからな 》
「煩い! あんたはもう黙ってて!」
《 おぉ、怖い怖い。聖女ともあろう者が。そんなオマエに、もうひとついいことを教えてやろう 》
「え……?」