再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
そのとき、私の身体がぼんやりと輝きを帯びていることに気付く。
その輝きはどんどん強くなって広がって、周囲の闇を明るく照らしていく。
これまで見えなかった周囲の様子がはっきりとして、この場が驚くほど巨大な鍾乳洞なのだとわかった。
昔ここに竜が棲んでいたという話も頷ける、まさに『竜の洞』だ。
『 なんだ、この凄まじい力は。魔と聖の力が合わさると、これほどまでの力になるのか!? 』
明るくなっていく視界とは逆に魔王の声がどんどん切羽詰まった苦しげなものに変わっていく。
美しかったその姿がどんどん醜い魔物の姿へと変貌していく。
『 やはり欲しい! その力、余も欲しいぞ! 早く余の元に堕ちて来い聖女よ……! 』
恐ろしい魔物の手が幾本にもなってこちらに伸びてきて、私は咄嗟にお腹を庇う。
「いや、来ないで!!」
この子は。
リューの子供は、私が絶対に守る……!
「竜帝くんだけじゃなく聖女とその子まで欲しがるなんて、さすがに欲張りが過ぎるんじゃないかな?」
聞こえてきたその声に、私は目を見開く。
「エル!?」
『 妖精王!? ぐあっ!? 』
顔を上げてすぐ、私に伸びていたいくつもの手が目の前でザンッと斬り落とされた。