再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
そして、私の前に立ったのは凛々しい背中。
「コハル様。ご無事で何よりです」
「ローサ!」
「コハルさま、お怪我をされているのです!? すぐにメリーが癒してさしあげます~!」
「メリー!」
メリーの癒しの光の中で、私は皆の姿を呆然と見つめる。
……これは、幻だろうか。
エル。
ローサ。
メリー。
いつの間にか、私の周りには皆がいた。
「みんな、どうして……っ」
格好悪く声が震えてしまった。
だって、さっき皆、炎の中に……。
「いやぁ、さすがにもうダメかと思ったけどね」
「カネラ王子!」
「あのとき、妖精王さまが咄嗟に姿を消して逃がしてくれたんだよ」
カネラ王子が相変わらずのマイペースな口調で教えてくれる。
(じゃあ、これは幻なんかじゃなくて、本当にみんな無事だったんだ)
みんな、生きてるんだ……!
『 なぜ、この中で平気なのだ、貴様ら……! 』
魔王の声を聞いてハっとする。
そうだ。さっき穴の前で皆あんなに苦しそうだったのに。
「これのお蔭さ」
エルが手にしていたのは薄いピンク色の花の形をした宝石だった。
「『花の王国』特製の魔法石よ」
その鈴を転がしたような声に、私は驚き振り返る。
「ティーア!?」
「遅くなってごめんなさい、コハル」
相変わらず“清楚可憐”という言葉がぴったりで、この場には到底似つかわしくない友人が、綺麗に微笑んでいた。