再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
その後案内された、晩餐会でも開かれそうな大部屋には二人では絶対に食べきれない量の豪華な食事が用意されていて、でもこの後のことを考えると折角の料理もほとんど味がしなかった。
ちなみにメリーは一向に目を覚ます様子がなく、今も私の隣の椅子で気持ちよさそうに鼻提灯をぷうぷう出しながら寝ている。
「遠慮せずにどんどん食べろ、コハル」
向かいに座ったリューに言われて私は苦笑する。
「ありがとうございます。でも、もうお腹いっぱいで……」
「そうか? コハルは小食なんだな。ああ、苦手なものがあれば今のうちに言っておくといい」
「あ、はい……」
向こうの世界では苦手なものは特になかったけれど、こちらの世界の食材はまだわからないものだらけだ。
(見たことのない生き物の丸焼きとかはちょっとキツいかもなぁ)
と、視界の端でメリーが小さく身じろぎをした。
「メリーはご飯いいのかな」
そう呟くと、リューもそちらに視線を移した。
「そいつら妖精は基本昼行性だからな。明日、朝日が昇るまでは起きないだろう」
「えっ」
てっきり全速力で飛んだせいで疲れて寝てしまったのだと思っていたけれど。
でもそう言われると、7年前もそうだった気がしてきた。