再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「……嫌か?」
低い、男の人の声。
「俺はコハルのことが愛おしい。だから触れたいと思う。コハルは、俺に触れられるのは嫌か?」
「!」
また……!
そうやって訊くのは狡い。
……嫌ではない。
嫌ではないから、困っているのだ。
「……嫌では、ないです。でも……」
「でも?」
「まだ、全然心の準備が出来ていなくて……。すみません。もう少し、待ってください」
正直に今の気持ちを話すと、その腕が少しずつ緩んでいった。
「そうか。わかった」
そうして彼の温もりが離れてほっとする。
でも、続けて彼は私に訊いた。
「キスは、いいか?」
「え」
「コハルと、もう一度キスがしたい」
ぼっと、また顔が熱くなった。
もう一度……この間のキスは突然過ぎて、ほとんど何も覚えていないけれど。
(でも……)
「――き、キスだけなら」
小さくそう答えた途端だった。
頭の後ろに手を回され噛みつくようなキスが降ってきた。
「ん……っ」
びっくりして、目を閉じる間もなかった。
すぐ眼前に伏せられた長い睫毛が見えて、また全身が熱くなる。
ちゅっと音を立てて一度離れたそれは、またすぐに重ねられた。
気恥ずかしくはあるけれど、リューとのキスはやっぱり嫌ではなかった。
……こういうときは、やはり目を閉じた方がいいのだろうとゆっくりと目を瞑ったその時、ぐーっとリューがこちらに体重をかけてきて驚く。