再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「ん~~っ!?」
そのままベッドに押し倒される格好になって喉から抗議の声を上げるがキスは止まなかった。
それどころか角度を変えぬるりと舌が入ってきて、びくりと身体が跳ねる。
――それが、限界だった。
「……コハル?」
渾身の力で彼の胸を押しやっていた。
ショックを受けたように目を見開いてリューがこちらを見下ろしている。
「――ご、ごめんなさい。でも……やっぱりまだ……ごめんなさい」
何度も謝る。
酷い顔をしている自覚があって、彼の顔が見れなかった。
すると、リューはゆっくりと私の上から退いてくれた。
「いや、俺の方こそ、すまなかった。つい……」
「……」
「……」
気まずい沈黙が流れる。
(私、何してるんだろう……この歳になって、キスもまともに出来ないなんて……)
ふいに、あの後輩のクスクスという笑い声が聞こえた気がした。
「……ごめんなさい。私、こんなで」
「?」
のそりと起き上がった私をリューが不思議そうに見つめる。
「私、この世界では『聖女』なんて呼ばれていますが、本当の私はなんの取り柄もなくて、こういうことにも全然疎くて……」
リューは……リュー皇子は、もしかしたら男の子が年上のお姉さんに憧れるみたいな、そんな幻想を私に抱いてくれていたのかもしれない。
でも本当の私は、後輩にも嫌われて会社もクビになるような底辺の人間で。