再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「そして、約束通りこうして俺の元へ来てくれて、ありがとう」
「は、はい……」
また少し心が痛んで、でもなんとか顔に出さないよう耐えていると。
「しかし良かった。コハルが約束を忘れ他の男と結婚などしていないかと、ほんの僅かだが心配していたんだ」
「あ、あはは……も、もし、そんなことになっていたら、どうしてました……?」
恐る恐る訊いてみる。
「そうだな……考えたくもないが、その男を殺してコハルを奪っていたかもしれないな」
良い笑顔で言われて、私は乾いた笑みを返しながら心底彼氏とかいなくて良かったと思った。
「だからな、コハル。ゆっくりでいい」
「え?」
「俺はもうコハル以外は考えられん。だから、コハルの心が決まるまで待つことにする」
「リュー……」
でもそこで彼はバツが悪そうな顔をした。
「たまに、その、先ほどのように抑えがきかなくなることもあるかもしれないが……共に、この部屋で眠ることは許してもらえるか」
「そ、それは勿論!」
大きく頷くとリューはほっとしたように笑った。
「よし、ではもう眠るとしよう。明日も何かと忙しいからな」
「はい!」
私も笑顔でもう一度頷いたのだった。
このとき、「ゆっくりでいい」というリューの言葉に私はすごく救われた。
リューには申し訳ないけれど、これからゆっくりと自分の気持ちを確かめようと思った。
――しかし。
(こんなの眠れませんが~~!)
横になってすぐに寝息を立て始めたリューの腕の中で、完全に抱き枕状態の私は心の中でそんな情けない声を上げていた。