再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 お蔭で私はリューの腕から解放されたけれど。
 ぼすん、ぼすんとリューの顔面で飛び跳ねているメリーを見て慌てて止めに入る。

「メリー! もう大丈夫だから!」

 メリーの身体は軽くて柔らかいので痛くはないだろうがリューが怒らないかとヒヤヒヤした。

「こ、コハルさま~~!」

 メリーはリューの顔面を最後べしっと蹴って私の胸に飛び込んできた。

「さぞお辛かったでしょう~メリーが眠っていたばっかりにコハルさまの純潔をお守りできず申し訳ありません~~」
「いやいやいや、ほんと大丈夫だから!」

 純潔とか言われるとめちゃくちゃ恥ずかしい。
 するとメリーは涙目でこちらを見上げてきた。

「ほんとですか? ほんとに何もされなかったですか?」
「本当に大丈夫!」
「うわ~~ん、良かったですぅ~~!」

 と、リューがのそりと起き上がって不機嫌極まりない顔で言った。

「卑怯だぞ貴様……寝込みを襲うなど」
「お前に言われなくないわ、このド変態族がっ!」
「ド変態族はやめろ! まったく、もう少しコハルとゆっくりしていたかったというのに」

 リューは欠伸をしてから大きく伸びをした。
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