再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第2話
「――ちょ、ちょっと待ってください。申し訳ないんですけど、何かの間違いじゃ……?」
私はそう言って、彼からじりじりと後退りをした。
すると彼は更に不機嫌そうに、いや、少しふてくされたような顔をした。
それを見て一瞬何かを思い出しかけて。
「約束したではないか。俺が竜帝になったら妃として迎えると」
――竜帝になったら、妃に迎える……?
『 俺が竜帝になったら、お前を妃に迎えてやってもいいんだからな! 』
そのとき唐突に耳によみがえったのは、そんな少年の声。
でもあれは。あの声の主は……。
「も、もしかして、リュー皇子!?」
私がその名を口にした途端、彼は満足げに口の端を上げた。
リュー皇子。私はそう呼んでいたけれど、確か正式な名はリュークレウス皇子……だったはず。
彼はこの世界に君臨する5人の王の中の一人『竜帝』と呼ばれる王の息子だった。
7年前、彼の父である竜帝は魔王に洗脳され操られていた。それを知った私たちは協力し合い共に戦い、そして見事彼の父と国を魔王の手から救い出したのだ。
一気にそこまで思い出して。
「いやいやいや、でもリュー皇子は……っ」
口にしかけて危うく止める。