再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
私は気持ちを落ち着けてから続ける。
「すみません。……さっきも言いましたが、彼女は何も悪くないんです。私がお願いしたお花を急いで届けようとしてくれただけで。まさかそんな優しい彼女を、咎めたり罰したりなんてしませんよね……?」
祈るような気持ちで穏やかに訊ねる。
だが、リューは難しい顔をした。
「使用人たちのことは全てセレストに任せているからな。しかし、あのような失態をあいつが許すとは思えないが」
ローサと同じようなことを口にした彼に驚く。
「なら、リューからセレストさんに言ってください! 先ほどの件は不問にしようと」
「だが不問となると、他の者への示しがつかなくなる」
「示しって……」
リューのその言葉を聞いて私は衝撃を受ける。
(示しをつけるために、アマリーに罰を与えるってこと……?)
――瞬間、責任を取らされひとり会社をクビになった自分とアマリーが重なった。
そんな私にリューは不機嫌そうに続ける。
「もしあのとき花瓶が落ちて割れていたら、コハルが傷ついていたかもしれないんだぞ」
「もしそうなっていたとしても傷なんてすぐに治ります!」
「そういう問題ではない!」
「そういう問題です!」
強く言われて私も強く言い返す。
はじめて、彼に憤りを感じていた。