再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

「ありがとうございます、皇子」
「え?」
「さっき、私を守ろうとしてくれましたよね」

 聖女の力を使う直前、彼は私の前に出て迫りくる魔物たちに毅然と立ち向かおうとした。
 私よりも小さな身体で、私のことを精一杯守ろうとしてくれたのだ。

「すごく格好良かったです」

 そう言うと、彼の頬がほんのり赤く染まった気がした。
 でもその後ぷいっとそっぽを向いてしまうと、彼はいつもの調子で言ったのだ。

「当然だろう! 俺を誰だと思っているんだ!」
「未来の竜帝陛下ですもんね」
「そうだ! 俺は父上のような立派な竜帝になるんだからな!」

 そんないつもの彼を見てほっとした私はもう一度ゆっくりと目を閉じた……。



 ――そんなこともあったなぁと懐かしく思いながら、私は重い瞼を上げていく。

「コハル……?」

 するとあの時のように、心配そうな顔がこちらを覗き込んでいた。
 あの頃よりもずっと大人びた、でも同じ金の色。

「リュー……?」
「目が覚めたか」

 ほっと安堵した顔もあの頃と変わっていなくて。

(えっと、私どうしたんだっけ……?)

 あの時は地面に寝ていて高い空が見えたけれど、今見えるのは豪華な作りの天蓋で自分がベッドに寝かされているのだとわかった。

「すまない」
「え?」

 あの時のように、彼が謝罪の言葉を口にした。



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