再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第16話
「話は全て、あの妖精から聞いた」
枕元の椅子に腰掛けたリューが神妙な面持ちで続けた。
「メリーから……?」
そこで私は全てを思い出し、ガバっと起き上がった。
――そうだ。怒りの感情に任せて『聖女の力』を使ってしまったのだ。
私は焦って彼の身体を見回す。
「リューはなんでもない!? 誰かほかに被害とか出てないですか!?」
覚えているのは凄まじい雷鳴。
脳裏に浮かんだのはあのとき見た黒焦げになった魔物たちだ。
もしあれが誰かに当たっていたらと考えたらぞっとした。
「あ、ああ、大丈夫だ。城の屋根が一部焼け焦げていたそうだが、別に問題はない」
それを聞いてほぅと息を吐く。
(良かった……や、全然良くない)
聖女の力は、私の感情の高ぶりが引き金となる。
勿論この世界でだけ。
そのことを7年の間にすっかり忘れていた。
「私、どのくらい寝て……?」
「一時間ほどだ。先ほど、あの妖精が癒しの魔法をかけていた」
だから今身体は楽なのだとわかった。
私は頭を下げて心から謝罪する。
「本当にすみませんでした」
「いや、……それだけ、コハルが俺に対して怒りを覚えたということだ」
その力ない声音に顔を上げて、リューが酷く気落ちしていることに気付いた。