再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
そしてそれを隠すように彼は手で顔を覆ってしまった。
「ひょっとして、他の者にもそう思われているのか……?」
「え? あ、いえ、私がそう感じただけなので、他の人たちにはちゃんと威厳ある立派な竜帝陛下に見えていると思いますが」
慌てて言うと、彼は安堵したように息を吐いた。
「そ、そうか……」
それを見て私はやっぱりと思った。
(リューは今でもお父さんを……)
「コハルが、昔言っただろう?」
「え?」
「この国を去るときに、父上のような立派な竜帝になってくださいと」
「!」
――だからリュー皇子、お父さんみたいな立派な竜帝陛下になってくださいね。
(……言った)
確かにそう言ってしまった覚えがある。
またか、と私は当時の自分を本気で引っ叩きたくなった。
(まさか、私のせいもあったなんて……)
「だから俺は、」
「す、すみません。確かにお父さんのような威厳ある竜帝陛下もカッコ良いとは思うのですが」
私は思い切って続ける。
「リューにはもっと、皆に好かれる優しい竜帝陛下になって欲しいです」