再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「僕一人の力ではなかなか思うようにいかなくて。花の国とは地質や気候が違うのも勿論ありますが……今はこれが精一杯です」
そうしてベルデさんは花の城の庭園に比べたらあまりに小さな花壇を見つめた。
「……リューに、陛下に相談してみます」
「え!?」
私が言うと、ベルデさんはぎょっとした顔でこちらを振り返った。
「いえ、そんな!」
「私も、実はここに来た時、まだ少し怖いというか冷たい印象を受けたんです」
庭園を見回しながらそう続けると、彼は口を噤んだ。
……7年前、魔物で溢れていたこの城は、まさに「魔王の城」という雰囲気で本当に恐ろしかった。
今はもう魔王も魔物もいないのに、やはり未だにその頃のイメージは根強く残っている。
そう感じていたのは私だけではなかったのだ。
「花の城は私も知っているので、ここの庭園もあんなふうになったら素敵だなって……メリーのこともありますし、ちょっと話してみます」
メリーを見てから笑顔で言うと、ベルデさんは姿勢を正しまた深く頭を下げた。
「よろしくお願いします」
「はい!」
私はしっかりと返事をする。
――彼の言う通り、まずはこの城からあの頃の恐ろしいイメージを払拭できたらいいと思った。