偽る恋のはじめかた



「実は・・・・・・、雨宮(あまみや)さんに腕を触られたんだ。4回も!」


「・・・・・・は?」


「桐生課長って面白いですね。って肩もぽんっと触られたんだ。あと、沢山笑ってくれて・・・・・・」


「・・・・・・」


「彼女、俺の目をじーっと見て目が合うと、ニコッと笑ってくれたり」


「・・・・・・」


「これって、雨宮さんも俺のことが好きってことだよね?」


「違いますね」


桐生課長が発する言葉を遮るように食い気味に言葉に被せた。簡単な男のお手本のようで、呆れて溜息も出なかった。

< 102 / 261 >

この作品をシェア

pagetop