偽る恋のはじめかた
「・・・・・・そうなの?前は桐生課長のこと嫌だって言ってなかった?」
「歓迎会で喋ったら意外に話しやすくて、顔もかっこいいし、優良物件じゃん、って」
梨花のこの軽い感じはいつもの調子なのに、心の中で黒いモヤが心に覆い被さる。
(桐生課長の良さは顔だけじゃないのに、真面目でバカ真面目で、参考資料を寝る前に100回読んだりするくらい、一生懸命なのに・・・・・・)
本当の桐生課長を知ってほしいような、知られたくないような、自分の気持ちがわからない。