偽る恋のはじめかた



「桐生課長の連絡先・・・・・・、」


「うん?」


「し、し、しらない・・・・・・」




私は嘘をついた。
自分のための身勝手な嘘を。

本当は桐生課長の連絡先を知っているのに、知らないと口が開いていた。


ごめん、私最低だ。


梨花に嘘なんてついたことなかったのに、
息を吐くように嘘をついた。


恋をすると女は可愛くなる、なんていうけれど
私の場合は、好きという感情がこれでもかと、自分の性格を悪くしている。

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