偽る恋のはじめかた
ラーメンを食べ終えると、就業開始時刻が迫っていた。人事部に戻るために重い足取りで歩いていく。
モヤモヤを引きずっていて嫌な気持ちのままだった。心は大荒れだ。
このままでは仕事に支障が出そうなので、なにか飲んで落ち着かせようと思い、自販機コーナーで缶コーヒーを買うことにした。
ピッと、選択ボタンを押して、自販機の受け取り口から缶コーヒーを取り出そうとしゃがみ込むと目の先には・・・・・、
———黒い手帳が落ちていた
手に取ると、使い込まれている感じがする黒く分厚い手帳だった。
「・・・・・この手帳。誰のだろう?」
持ち主を確認するため、手帳の中を確認することにした。
「は?なにこれ・・・・・」
パラパラと手帳を捲ると、私は驚きのあまり絶句した。