偽る恋のはじめかた
「なにこれ。この恥ずかしすぎるものは何?
これ、大人が書いてたらとてつもなく痛いな」
黒い手帳に記されていたのは、俺様上司になるために必要なこと、などがビッシリと書かれていた。
パラパラと次のページも読み進めると、日記のように、"俺様上司レベル"と題して、反省文が毎日書かれていた。
今の自分に足りないものとは・・・。など、俺様上司になりきれていない反省点も何十ページにも渡って記されている。
手帳からは、本気度がヒシヒシと伝わってくる。
この手帳の持ち主・・・・・本気すぎる。
手帳にギッシリと書かれた文字は達筆で子供が書いたとは到底思えない。
(こんな子供が書くようなことを、大人が書いたっていうこと?)
理解が追いつかずに頭が混乱していた。
(この手帳の持ち主は、相当俺様上司に憧れを持ってるらしい。これを無くして他人に見られるとか地獄だな・・・・・)
持ち主は誰だか分からないが、心の底から同情した。