偽る恋のはじめかた
「いつもありがとう。椎名さんには助けてもらってるから、なにかお礼がしたかったんだ」
「・・・・・・お礼、なんて・・・・・・」
目を細めて笑う彼の表情に目が離せなくなる。
胸がぎゅっと締め付けられて苦しい。
・・・・・・好き、
と心が主張する。
胸が締め付けられるように苦しくなったり、
涙が出てきそうなほど切ない気持ちになったり、
こんなにあたたかくて嬉しい気持ちになったり・・・・・・。
原因は全部桐生課長だった。
桐生課長の言葉に一喜一憂して
簡単な女で自分でも笑ってしまう程だ。
でも、それが恋に落ちてるということなんだ。
私は桐生課長に恋に落ちてるから
彼の行動で心が支配されてしまうのは
必然で避けることはできない。