偽る恋のはじめかた
「女性にプレゼントなんて、何年ぶりだろう。
・・・・・・なんか、照れるな」
顔を少し赤らめて照れた表情をしながら、言葉を続けた。
「もう、こんな時間か。椎名さんといると、楽しくて時間があっという間に過ぎるんだよな」
すごく嬉しそうに微笑むから、私の心は複雑な気持ちになった。
まっすぐ見つめられる瞳に、彼も私を好きなんじゃないかと、ありもしない錯覚に陥る。
期待するな、期待しちゃだめ。
心のどこか片隅で期待をしてしまう自分に何度も言いきかせた。
期待したって無駄なのに、どうして心のどこかで期待をしてしまっているのだろう。
嬉しさと、期待してしまう自分の愚かさと
切ない感情に駆られてる。
鼻の奥がツンとした。
涙が溢れないように、ぐっと目に力を入れた。