偽る恋のはじめかた





「終わりじゃなくて・・・・・・またお礼をさせて欲しい」


桐生課長から手渡された紙袋に視線を移す。
プレゼントをくれるなんて、桐生課長なりに私のことも考えてくれたのかな。少しは彼の頭の片隅に残れたかな。

それなら・・・・・・それだけで嬉しい。


「お礼なんていらないです。
このプレゼントだけで・・・・・・充分です」


「そのプレゼントは、今までのお礼だから。
その、また次の分のお礼がしたい」

「次の分って・・・・・・、もう、いらないですよ?
お礼はこれ以上いらないです」

「・・・・・・しかし、」



いらない。
本当にいらないの。


まだ納得のいかない顔をする彼に向けて、頭を大きく横に振った。


いつからか目的を見失って、ただ一緒にいたいと思うようになってしまった。この事実は、伝えることはないけれど、心の中で謝ります。



———勝手に、好きになってごめんなさい。





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