偽る恋のはじめかた
05 作戦
⋆⸜꙳⸝⋆
お昼休憩の時間になり、私は桐生課長と作戦会議という名のランチをするために、指定されたお店へ向かっている。
2人で外を歩いているところを会社の人に見られると、変な誤解を招かねないので別々にお店に向かうこととなった。
Mineでお店の位置情報が送られてきたので、足早に歩いていた。路地を抜けたところにお店があった。和の風勢の店構えの扉に、"割烹料理"と暖簾が下げられていた
「いらっしゃいませ」
店内に足を踏み入れると、気品がある着物を着た店員さんが出迎えてくれた。
「えっと・・・・・、桐生で予約してる・・・・・のかな?」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
不安になり、途切れ途切れに答えると、店員さんが小上がりの個室へと案内をしてくれた。
モダンな落ち着いた空間で、料亭に慣れていない私は少し緊張していた。