偽る恋のはじめかた





「まず、その黒い手帳に書いてある俺様上司のインプットは全部消してください」


「ええ?」


目を見開いて、分かりやすく驚いている。


「桐生課長が演じてきた、俺様上司は間違いです!今すぐ頭の中から消してください」


桐生課長は俯いて黙り込んでしまった。体がシュンとなり一回り小さく見える。1000回以上読んだと言っていたから、毎日徹夜して読んでいたのだろう・・・・・。酷い落ち込みようだ。


「課長!残念なのは分かりますけど、無駄な努力でした。切り替えましょう?」


桐生課長の気持ちに同情していても話が進まないので、私は心を鬼にしてはっきり物申していこうと決めていた。
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